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競技規則とはシリーズや各大会での競技運営に関するルールです。
レース観戦で知っておきたいダイジェストとしてご紹介します。
「GT500クラス」と「GT300クラス」の2つのクラスがあります。元々はGT500クラスが車両のエンジン想定馬力が約500馬力、GT300 クラスは約300馬力だったことから名付けられました。現在の車両は性能調整によっているため、必ずしもこの想定馬力とは限りません。
それぞれの車両はゼッケン、フロントウィンドウ、ヘッドライト等の色で見分けられます。GT500クラスは白系、GT300クラスは黄色系です。
GT500クラス |
GT300クラス |
決勝レースは、GT500クラスとGT300クラスの混走で行われます。
決勝レースでの走行距離は、最短250kmから最長1000kmを超えた最初の周回までを行うことができます。またこの距離内であれば、時間制のレースも行うこともできます。
参戦する1台のマシン(ゼッケン単位)は、2名のドライバーで走らせます。
決勝レースの走行距離が長いとGTAが認めたレースでは、ドライバーはもう1名を追加することができます。
なお、1台のマシンで1シーズン登録できるドライバーは原則4名までです。
予選のQ1とQ2は、それぞれ別の選手が走らなければいけません。
決勝レースでは、1人目のドライバーがスタートして周回を行いピットに戻り、別のドライバーに交代して、1レースを2人以上で走らなければなりません。
また1人がレース走行距離(時間制の場合は上限時間)の3分の2を超えることはできません。
参戦する車両には、搭乗するドライバーの通算ポイントに応じたサクセスウェイト(車両最低重量に加算する重り)が搭載されます。搭載位置は規定で定められています。
同じ車両に乗る2選手のポイントが異なる場合は、ポイントの多い方を採用します。これは各クラス内で車両性能を均衡させ、チームの総合力で競えるようにするためです。
GT500 クラスの搭載ウェイトと燃料流量リストリクター制限
GT500サクセスウェイト | 0〜50kg | 51〜67kg | 68〜84kg | 85〜100kg |
---|---|---|---|---|
搭載ウェイト | 0〜50kg | 34〜50kg | 34〜50kg | 35〜50kg |
燃料流量リストリクター | 95.0kg/h | 92.6kg/h | 90.2kg/h | 88.0kg/h |
※燃料流量リストリクター数値は1時間あたりの使用燃料の重量
各シリーズ戦でのサクセスウェイトの搭載基準
サクセスウェイトの搭載基準は、何戦目は大会のラウンドではなく、その車両(ゼッケン単位)の参戦数となります。ウェイトの計算値に小数点以下があった場合は切り上げになります。
※GT500クラスの実搭載重量の上限
GT500クラスでは、実際に搭載する重量を50kgまでとしています。50kgを超えた場合は、燃料流量リストリクターを段階的に絞ってエンジン出力を抑えた上で、追加ウェイトが50kg以内にします。これは競技の安全性を考えての措置となります。
予選はクラス別にQ1とQ2という2回の走行が行われます。
予選順位はQ1とQ2でのベストタイムを合算したタイムで決定します(※1)。
Q1とQ2は別のドライバーが走り、各走行の途中にドライバー交代はできません。
Q1/Q2走行はそれぞれGT300クラスが先に行われます。
予選基準タイムはQ1、Q2各組上位3台の平均を107%とし、これに達しないものや予選走行ができないものは予選順位を与えられません。
※1:予選でWET宣言※2が出た場合は、順位決定の方法が変更される場合があります。
予選で使用できるタイヤは、Q1とQ2通じて2セット(計8本)が使用できます。ただし各走行が始まってからの交換は禁止です。
WET宣言※2が出された場合は、ウェット(雨用)タイヤへの変更ができます。
※2:WET宣言(ウェットせんげん)は大会オフィシャル(競技運営の係員)から路面が濡れているため雨用タイヤの使用が許可されたことを知らせる表示や合図のこと。
GT500クラスの予選
※GT500クラスは、WET宣言が出ても合算タイムでの順位決定となります。
GT300クラスの予選
※WET宣言が出た場合は、Q2各グループ内のベストタイムで予選総合の順位を決定します。
決勝のスターティンググリッド
決勝レースのスターティンググリッド(各車のスタート位置)は予選総合の順位によって決められます。この際、予選のタイムにかかわらず、GT500クラスが前、GT300クラスは後ろとクラス別の集団に分かれます。
各クラスの予選1位(ポールポジション)がその先頭となり、その後ろに予選の順位で並びます。
予選基準タイムに達しなかった車両は、各クラスの最後尾に並びます。予選のQ1、Q2に出走できなかった、記録を残せなかった車両は、ピットからのスタートとなります。
決勝レースのスタートでは、予選で使用したタイヤの使用が義務付けられます。このタイヤを使用できない場合は、ピットスタートとなり、ピット前で交換してからのスタートとなります。
決勝レースのスタートは、走行しながらスタートするローリングスタート方式が採用されます。
スタート進行の手順は、以下の通りです。
決勝レースでは、ドライバー交代を伴うピットインを必ず1回以上行ないます。
それはドライバー1人がレース距離の2/3(周回数は小数点以下切り捨てで計算)を超えて走ることができないからです。
また3名で走ることが許可された長距離レースでは、燃料給油をともなう義務ピットインの回数、最初と最後の周回数が指定されるので、このタイミングと回数を守らないとペナルティが課せられます。
決勝中のピットインでは、燃料補給やタイヤ交換も行えます。
この際、競技車両に触って作業できるのは、メカニック5名とドライバーのみで、タイヤ交換は2名で行います。また燃料補給中には安全面を配慮して、同時にタイヤ交換はできません。必ず給油の前、または終えてからタイヤ交換を行います。
なおタイヤ交換は通常は義務ではないので、無交換や2本のみ交換などピット作業の時間短縮をはかる作戦を採ることもできます。
ただし、大会前にタイヤ交換を伴うピットインの回数が指定される場合もあるので、その際は最低回数のタイヤ交換を行わなければペナルティが課せられます。
コースの各所にはポスト(監視所)があり、オフィシャルが競技の管理を行い、走行するドライバーにフラッグで状況を伝えます。決勝レース中にコース内で車両が停止する等、安全上の問題が発生した場合、イエローフラッグ(黄色旗)が提示され、その区間では「追い越し禁止」となります。
さらに、コース全域で競技車両のペースを落とし、追い越しを禁止すべき状態になった場合には、全コースがイエローフラッグと同等な状態とするFCY(フルコースイエロー)が宣言されます。
FCYが決定すると、車内モニターにFCYの表示、全ポストでイエローフラッグが提示されます。指定のカウントダウンの後、全ポストでFCYボードが提示され、全競技車両はその位置に関係なく速度は上限80km/h、追い越し禁止、原則ピットレーン進入禁止となります。また不要に遅く走ってもいけません。
問題が解消されたら、ポストのグリーンフラッグ(緑色旗)でFCYは解除となります。
なおFCY中にセーフティカーが入り、FCYからセーフティカーの先導走行に移行する場合もあります。
決勝レース中にトラブルが生じて、FCYでも競技の安全な継続が難しい場合は、コースの全ポストでイエローフラッグが振られて追い越し禁止となり、セーフティカー(SC)と呼ばれる先導車がGT500クラス先頭の前に入ります。このSC先導の走行もレース周回数に含まれます。
SCがコース上に出た場合、全競技車両はその先導に従い十分な車間距離を空けて整列走行を行います。SCからの指示を受けず、SCを追い越してはいけません。
SC走行中はピットロードがクローズとなり、ピットロード入り口の信号がグリーンになるまで入ることはできません。
SCは後続の隊列が整ったら、スタートラインで一旦停止。その後ろにGT500車両がコースのイン側に、GT300車両がアウト側に停止してクラス別に車両を分けます。各車両の停止が始まると、SCはGT500車両の先頭車を先導してスタート。GT500の走行全車が先行してから、GT300車両の先頭車がそれに続き、またSC先導の隊列走行を続けます。
トラブルが解消したら全ポストでイエローフラッグが撤去されて、SCは車上のフラッシュランプを消灯してコース上から退去。ストレートのシグナルがグリーンとなり、各車両はスタートラインを越えたら競技再開で追い越しが可能となります。
なお、決勝レーススタート直後などSCがコースに入った時点で、競技車両がクラスで分かれている場合には、このクラス分けの手順は行いません。
またSC導入でもトラブル(悪天候も含む)の対応が難しい場合は、全ポストでレッドフラッグが提示されて競技は中断。全競技車両はペースを落として、競技規則で指定された位置に車両を停め、競技の再開を待ちます。
予選や決勝レース中に反則行為を行った場合、ペナルティが課せられます。
反則行為には、
などがあります。
ペナルティには反則の程度により、
などが課せられます。
ペナルティの裁定がレース終了直前や終了後の場合は、そのペナルティに相当するタイムが競技結果 に加算されます。
ペナルティが掲示された場合、3周以内に実行しないとその競技車両は失格となります。
SUPER GTを運営するGTAでは「レースの観客に対し、プロフェッショナルなドライビング・バトルを見せ魅力的なSUPER GTレースを構築する」を掲げて、ドライビング・モラルハザード防止制度を導入しています。各大会はもちろん、GTA公式テストを含むSUPER GT車両の走行に際して、GTAの「ガイドライン」に抵触したチームおよびドライバーに大会競技とは別にペナルティを課すものです。
ペナルティには、反則金、ポイント制による各種ペナルティがあります。ポイントは違反行為によって変わり、一定期間有効で累積(自動車運転免許の違反点数の仕組みと同等)されます。一定のポイントに達すると、走行の制限、レース参加の制限や拒否のペナルティが課せられます。
SUPER GTは1年間のシリーズ戦で行われ、GT500クラスとGT300クラスそれぞれにドライバー部門とチーム部門のタイトル(チャンピオン)が懸かっています。
シリーズ各戦の競技結果に対してはシリーズポイントが与えられ、全大会のシリーズポイントを合計して、最も多く獲得したドライバー、チームがシリーズタイトルを獲得する事となります。
ドライバー(組)のポイントはクラス別、競技車両(ゼッケン単位)別に与えられます。決勝と予選で得られるポイントは下記の表の通りです。
なお3人のドライバーが参加できる大会では、予選のポイントは出走したドライバーのみに授与され、第3ドライバーは決勝レースで走行が最低50km未満の場合はポイントが与えられません。
チームのポイントは1台の競技車両(ゼッケン単位)に対して、決勝の順位と走行ラップ数に応じたポイント(下記の表)が与えられます。
ドライバーポイント(GT500/GT300とも同じ)
決勝順位 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
予選ポイント | 3 | 2 | 1 | – | – | – | – | – | – | – |
決勝ポイント | 20 | 15 | 11 | 8 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
決勝ポイント(レース距離が700km/4時間以上の場合) | 25 | 18 | 13 | 10 | 8 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 |
チーム決勝順位(GT500/GT300とも同じ)
決勝順位 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ポイント | 20 | 15 | 11 | 8 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
ポイント(レース距離が700km/4時間以上の場合) | 25 | 18 | 13 | 10 | 8 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 |
チーム決勝周回ポイント
走行ラップ | トップと同一周回 | 1周遅れ | 2周遅れ以上 | 3周遅れ以上 |
---|---|---|---|---|
GT500クラス | 3 | 2 | 1 | |
GT300クラス | 3 | 3 | 2 | 1 |